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第四章 6話:死を喰らう者達

「封印の獣」を狩り、「封印」を弱め、都市機能を
復活させる……我々冒険者の本分といえるだろう

その基本的な活動を率先して行う……
それが「都市解放傭兵団」だ……

傭兵団は、常に優秀な人材を求めている……
時には仲介者を頼る事もある

ご利用、有難うございます……フフフ

意外と普通な紹介相手……でしたね

というと……?

メルツィアが説明しないからー……

信用できる人材を見極めるまでは、依頼主の情報を
流す訳にはいきませんので……フフフ

うぅ……そうかもしれないけど!

そもそも、私達は紹介して欲しいなんて
言ってないんですけど!?

ええ、ここから先は貴方たちが決めて下さって結構よ?

どういう事だ……?
戦力になる人材を紹介してくれるのではないのか……?

成り行きで来ただけ

つまり、傭兵団に入る気はないという事か……?

悪いけど……特に入る気はないわね

ええ、そうですね……申し訳ないですが

承知した……無理に入団してもらうつもりはない

あら、意外にあっさり引くのね?

我々は「傭兵団」だ……
入るのも出るのも、自分の意思しだい――

拘束はしないのが「都市解放傭兵団」の理念だ

……それでしたら、少しだけ協力させていただくと
いうのはどうでしょうか?

そうすれば、メルツィアさんの顔も立ちますよね?

あら、優しいのね?

別にこの人の顔を立てる必要はないと思うけど……
シャノンが言うなら、少しだけ手伝ってもいいわよ?

お試し期間、という事で……

それでも構わない……好きにすればいい

そうね、ちょっとだけ

では、今は同志ということで宜しく頼む……

そこの少女も、な……

うん……よろしく……

めでたし、めでたし、ね?

あんたが言うな~……

 

~草原~

 

それで、傭兵団の新人としては何をすればいいのかしら?

先日言った通りだ……
魔物を倒すことで、都市の封印は弱まる

そうすれば、都市の機能が回復していく……
冒険者の……

はいはい、分かってるわよ
冒険者の本分よね?

分かれば良い……

じゃあ、狩りの時間だねー……

互いに武運を……

 

◆ ◆ ◆

 

順調だな……
さすが、紹介に足る人材というわけか

この程度なら、どうって事はない

なかなか頼もしいな……

それでは、もっとお前達の力を見せてもらおうか

お任せー……

 

◆ ◆ ◆

 

タリオンは、やっぱり普段から狩りばかりやってるの?

そうでもない……

あら、そうなの?
傭兵団にずっと時間を割いてるのかと思ったけど

いや、それほどでもないな……

意外に自由なんですね……

むしろ野放しー……

 

◆ ◆ ◆

 

俺はどちらかといえば、
街やアリーナにいる事の方が多い……

本当に何でもありなのね

傭兵団に協力すれば、効率よく狩りができる
魔物の発生情報が共有されるからな……

つまり、効率よく都市の復興がはかどり、
街やアリーナに貢献できるというわけだ……

お得感……

狩りをするだけでしたら、普段とあまり変わらずに
冒険ができそうですね?

たまになら傭兵団に協力できそう

気が向いたならば、俺が話を聞こう……

えぇ、気が向いたらお願いするわ

どちらにせよ、お前たちが決めればいい……
傭兵団は窮屈な所ではないのは確かだ

はい、ありがとうございます

ありがとー……ます

ああ

 

◆ ◆ ◆

 

……様子が変だ

えっ?

妙に静かになった……?

そうだな……

でも、何かに狙われてるような、イヤな感じ……

その通りのようだな……

え……

(スッ……)

…………

…………

何者だ!

…………ニヤリ

……なるほど

タリオン、こいつらの事を知ってるの!?

…………どうかな……

倒すべき相手、というのは確かだ……

仕方ないわね……!

 

◆ ◆ ◆

 

…………

(バタッ)

なんなの、こいつら……
ニヤニヤしながら襲ってくるなんて……

組織的に冒険者を襲うヤツらがいると聞く……
依頼なのか、快楽的なのかは分からないがな

恨みでも買ってるー……?
人の事は言えないけどー……

さぁな、また来るぞ……

返り討つ!

……ニヤニヤ……

 

◆ ◆ ◆

 

この人たち、強いですよ!

人に刃を向ける事に躊躇がない……
そこに違いが出るのだろう

むぅ……

アルちゃんは危ないから、下がっててね?

シャノン、アルジェをお願いね!

ええ、分かりました!

また来たー……

…………フッ

 

◆ ◆ ◆

 

…………

(ドサッ……)

ま、まだやる気!?

…………

…………

「降り懸かる火の粉は払わねばならぬ」……だろう

……ニヤリ……

おいおいおいおい!!
勝手なマネをしてんじゃねぇぞ!

!?

(ドガッ!)

脳筋!?

脳筋じゃねぇ、バリゾーだ!
覚えろ!

面倒なのがキター……

コイツらは、俺が先に目をつけてたんだぜぇ!
てめぇら横取りしてんじゃねぇ!

…………

(スッ)

あっ……逃げていったわ

知り合いか……?

知り合い、というほどでは……あはは

へへ……

アンタまさか、助けに来てくれたの!?

ハァ?
何で俺さまが助けに来なきゃいけねーんだ?

俺の用事は「泣き姫」の情報に決まってんだろ!
さぁ、今日こそ吐いてもらうぜ!

状況はあまり変わって無いですね……

降り懸かる火の粉は払わねばならぬ……

……その通りだ

ハッ!
俺に勝てたら帰ってやらぁ!

いっくぜぇ~!!

 

◆ ◆ ◆

 

おごっ……!?
また、負け……た!?

はい、約束でしょ……帰って

……次は勝つ!!

(ダッ!)

あら、意外と素直に帰っちゃったわね

悪い男ではなさそうだが……

さっきの連中よりはね

俺を狙ったのか……君たちを狙ったのか……
それとも、ただの偶然か……

後味が悪いですね……

とにかく、気をつける事だ……
今日はもう戻った方が良いだろう

そうね……

うん……

 

◆ ◆ ◆

 

……どう?
興味は湧いたかしら……

どこにお前が興味を持ったのか、疑問だ
物足りんよ……何もかも

……ふふ、面白い隠し味が効いているのよ?

ならば、それを実際に味わわさせて欲しいものだ……
冷める前にな

そうね、近いうちにその機会を作るわ
待っててね、ゴーディン……ふふふ

期待はしない……俺は、俺しか信じない

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