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第六章 3話:歩み寄りの一歩

 ~数分前~

DD、あなたにはこのまま泣き姫を追ってもらうわ

どういうこと?

足止めしてる連中が、意外に苦戦してるらしいわね
様子を見てくるわ

好きにすれば……私は泣き姫にしか用はない

そうね……うちの者を何人か連れて行っていいわよ
心細いでしょ? 好きに使って

私の邪魔をしなければ、それでいい……
放っておいて

フフ……勘違いしないでもらいたいのだけど
あなた、泣き姫を倒したいのでしょう?

こちらもそうしてくれた方が楽だから協力してるの
慈善事業で言っている訳ではないのよ?

ハッキリそう言ってくれた方が、いっそ分かり易くて
いいわね……じゃあ、行かせてもらうわ

ええ、幸運を祈っているわ……フフフ

 

◆ ◆ ◆

 

DDさんに追いつく前に、ひとつ気になることが……

アルジェのこと?

ええ、以前アルちゃんがパニック状態に
なった時のことです……

あの時アルちゃんが突然パニックになったのは
DDさんがいたからなのかな、と……

アルジェ、わからない……おぼえてない

こればかりは怖いけど、また会ってみなけりゃ
わからないわね

予想通り、魔物が来たよー……

蹴散らして行くぞ!

 

◆ ◆ ◆

 

もし、またDDさんに追いついた時にアルちゃんが
パニック状態になったら、どうしましょう……

アルジェ、ここは我慢だ!

がまん……?
うぅ……がんばる……

そうやって、成長していくのだよー……

おぉ……

GRRRRR……

その前にこいつらを排除しないとね!

 

◆ ◆ ◆

 

そうだ、アルちゃん
ニンリルっていう女の人は知ってる……?

ううん……知らない……

本当の名前かどうか分からない

妙な言い回ししてたもの……
今はニンリルと覚えてもらおう、とか……

怪しすぎるー……

あの人なら、アルちゃんがパニック状態になった原因を
知ってるかもしれないと思ったんですが……

泣き姫とDDをどうにかしたら、後で考えましょ?

そうだね

 

◆ ◆ ◆

 

……うーん

どうしたの、マルタ?

誰かに見られてるようなー……

デスどもが潜んでる……?

冒険者狩りの専門家らしいから、隠れるのは
得意そうよね……

あれ、じゃないかしら……?

GRRRRRAAAAA!!

んー……
そうかも……そうでないかも……

 

◆ ◆ ◆

 

あそこ……
誰か倒れてるよー……

助けないと!

な、なんだお前ら!?
なんで俺を助ける!

あなた、魔物にやられたんですか?

はっ……お察しの通り、魔物にやられたのさ

お前たちを足止めするつもりだったが、
みんなやられて、この様だ……

もう、引き上げた方がいい

言われなくても、戦う余力は残ってない……
これで引き上げるさ

じゃあな、DDは独りで……あっ!!

(ドガッ!!!)

GRAAAAAAAAAAAAAA!!

くそ……ついてねぇ……

さらば、知らない人……
仇はとるよー……

 

◆ ◆ ◆

 

さっきのデスさんの話だと、DDさんは本当に独りで
泣き姫を追ってるようですけど……

なんて無茶な……

まったく……泣き姫相手に、独りなんて無理よ

GRAAAAAAAAAAAAAA!!

せめて骨は拾ってやろー……

 

◆ ◆ ◆

 

あっ! いたわ、DDよ!!

間に合いましたね……

お前たち、わざわざ邪魔しにここまで来たの……?
意外にネージュや他の連中も大した事ないわね

敵になるつもりはない!

敵かどうか、決めるのは私でしょ……

待って下さい、それでも私たちは……

GRRRRRRAAAAAAA!!!

くっ……デスイーターのヤツらは、さっさとリタイア
するし、何のために協力してやったんだか……!

下がってて!

ふざけないで……こんな魔物程度、敵じゃないわ

じゃあ、勝手に戦わせてもらうわね!
この強情っぱり!

何ですって!?

そんなケンカは後にしてー……

 

◆ ◆ ◆

 

GRRRRRRRRR……!

わるい子は……さよなら

(ヒュウッ)

けぷぅ……

その子……アルジェ、とかいったわよね
あの倒せない魔物を……消したの?

えぇと……その……
どうも、吸い……込んでる、みたいな……?

泣き姫と同じくらい、得体が知れないわね……

大切な仲間だ

ふん……まぁいいわ

私に協力する、と言ったわね……
だったらその子が私には必要、と言ったら?

アルジェは渡せない

じゃあ、交渉は決裂ね……
こうなったら――

【主人公】 さんの言う通り、
アルちゃんは、絶対に渡せません……

だから、みんな一緒に行きませんか?

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