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第六章 8話:悪意の眼

そういえば……

あら、なにかしら?

さっきから私だけ喋らされてるみたい……
ちょっと不公平じゃないの?

気づいちゃった?

DDさんの話した内容に圧倒されちゃって……

それにちょっと私も妹に関しては
話しにくいところがあってですね……

そうね、私たち意外とお互いの事を知らないかも

リアルの事なんて……
知らない方が良い事もあるよ……

言いたくなければ言わなくていい

そうだね……
私は気が向いた時に……

じゃあ私が妹の話をしますね
あまり楽しい話じゃないかもしれませんけど……

【主人公】 さんには話したんですが
少しDDさんと似ている所があって……

私のシャノンという名前も昔、妹が使っていた
キャラから受け継いだ名前なんです

受け継いだ、というのは……?

私の妹……実は4年前に亡くなってるんです……

でもこの名前を使っていれば、また妹と冒険している
気分を味わえるかなって……

……そう……だったの

私たちも初めて聞いたわ……

うん……

 

◆ ◆ ◆

 

その後、アルちゃんに会って妹の事を思い出して……

DDに怒られたよね

この前の事、謝る……
私、姉妹ゴッコなんて言っちゃったよね

いえ、やっぱり姉妹ゴッコには変わりませんから……

でもDDさんの妹は、まだ帰ってくるかもしれない
だから、お手伝いしたいと思ったんです

私、たぶんもっと酷い事言ったと思うし……
あんたに手伝ってもらえる資格なんてないよ……

シャノンはそんな事、気にしないよ

はい、あなたが百合さんと再び会えるように、
お手伝いさせて下さい

あんた……バカじゃないの?

バカじゃない、つもりですけど

お姉ちゃん……バカじゃないよ?

知ってるわ、バカは私……

ひとりじゃ百合を取り戻す事なんてできない……

それに気づいてたけど、認めたくない、
バカな子供よ……

(ザッ……)

…………

ちょっと、今さら何をしに来たの!

水を差さないでもらうよ……

 

◆ ◆ ◆

 

…………

(サッ……)

!?

DD、どうかした?

あいつ、逃げる直前に私をにらんで行ったわ

本当に?

さぁ……
一瞬だったから気のせいかもね

待って……おかわりだよ……

…………

(ザザッ……)

どういうつもりか聞き出してやる!

 

◆ ◆ ◆

 

…………

逃がさないわよ!

……!

何が目的だ!

……ふん、その女には心当たりがあるだろう

やっぱり、私か……

つまり、デスイーターに戻れ、
とでも言いに来たのだろう

そんな……

伝えたぞ……!

(ザッ……)

あっ、ちょっと目を離したらコレだもの……
気が抜けない連中だわ、もう!

おかわりがジャンジャン来るよー……

 

◆ ◆ ◆

 

しつこい勧誘は逆に嫌われるっていうのにねぇ~

それでDDはどうする?

どうするも何も、元々私はデスイーターの仲間に
なった覚えはないけど

きっと、双方の認識に齟齬があるよ……

……そご……って何?
難しい言葉、使わないでよ!

あれ……口調の割には意外と若かったりする……?
お姉さんキャラで背伸びしてるね……?

……ノーコメント

(ザザザッ)

…………

まぁ、こいつらの仲間になるより、
あんた達の方が、多少はマシかもね?

こんなのと比べられても困るけどね!?

 

◆ ◆ ◆

 

仲間になるとかならないとかの話だけど……

DDに任せるよ

私は、あんた達とずっと一緒にはいない方が
良いと思う

どうしてでしょうか……

このDDは、妙に名を知られてるらしいわ
だからデスイーターの連中みたいなのも寄ってくる

その子……アルジェの事は、そんな連中に
あまり知られたくない……違う?

DDさん……優しいんですね

はぁ!? い、意味が分からないわ!
ホラ、おかわり来たわよ!

お邪魔だったかな…………?

ナイスタイミングよ!

 

◆ ◆ ◆

 

一応……協力が必要な時は、声をかけるわ

遠慮なく声をかけて

アルジェや、 【主人公】 ほどの力には
なれないとは思うけど、協力するわ

超、任せてー……

そういう特別な力だけが必要って訳じゃない……

ふふ、そうよね

……DD、いつまでそこに……

おっと、うちのじゃじゃ馬にちょっかいを出すのは
やめてもらうわよ!

は? 誰の事?

同意だよー……

……えっ、私!?

 

◆ ◆ ◆

 

ショック……私、じゃじゃ馬だったわ

じゃじゃ馬、イイと思うよ!

あ、あら、そうなの?
……いやムリ、誤魔化されないわよ?

ねぇ、じゃじゃ馬って……なに?

気にしなくても大丈夫なのよ?

大丈夫かしら、この緊張感のなさ……
やっぱり慣れ合うのは危険みたいね

次のデス団員が、待ってるけどー……

……も、もう、いいのか……?

キイィーッ!
かかってきなさいよ、コラーッ!!

……あれが、じゃじゃ馬

おぉ……

 

◆ ◆ ◆

 

そろそろ洞窟の出口よ!

気を抜いちゃだめだ

ええ……
ヤツらが、まだ待ち伏せてるはずよ

…………

泣き姫の魔物がいなくなってから、元気に
湧いてくるとは恥知らずだね……

 

◆ ◆ ◆

 

出口だー……けど……

はい、お疲れ様……ふふ

まぁ、いるわよね……

泣き姫なら、もう行った

泣き姫を倒せなかったのは残念だったわねぇ
でも……

泣き姫とのやり取り……なかなか面白かったわ

何ですって!?

そっか……もしかして隠れてた……

察しの良い子は、嫌われるって言ってるでしょ?

ネージュを倒した後か

そう……倒されたフリをして姿を消した後、
ストーキングしてたのよ?

私の得意技、覚えておいてね……ふふ

本当に嫌な女……

知ってはいたけど、敵に回すと厄介ね

何もかも見ていたのなら、
もう用事はないんじゃないですか……?

そうね……私は満足してるけど、
満足してない人がいてね……

泣き姫と戦って、生還したあなた達の力を知りたい
なんて、奇特な男がいるの……

あとはお好きにどうぞ……ゴーディン♪

ふ……茶番は終わりか

あっ!
あなた……デスイーターの人だったんですね

こいつだ……デスイーターを力で支配している
事実上のリーダー的な男……

ゴーディン……

【主人公】 ……だったな

顔つき……は所詮、作り物で変わらんが
その気概は、それなりに成長したようだな……

貴様の力、その価値がどれほど高くなったのか
見せてもらおう……フフフ

そんな勝手な理由で戦わされるなんて、ゴメンよ!

ほう……ならば、本気を出させてやらねばならんか
無粋ではあるがな……(クイッ)

…………コクリ

(ザザッ)

え……?

アルちゃんの周りが、いつの間にか囲まれてる!

この娘は、泣き姫に使えるという話だそうだな……
このままもらっていってもいいが、どうする?

卑怯者め……!

ああ、そのようだな……やる気は出たか?

さあ、お前達の価値を見せてもらうぞ……!

 

◆ ◆ ◆

 

フム……評価を改めてやろう……
お前達に価値はある……嬉しいぞ?

アルジェを離せ!

娘を離す約束など、俺はしたのか……?

あなたという人は……!

早とちりする女だ……おい、娘を返してやれ

…………行け

(ドンッ)

はうっ……

アルちゃん!(ぎゅっ)

手荒な真似は止めなさいよ!

フッ……さぁDD、どうする
こっちに来るのか、来ないのか?

あんた達から得られるものは、もう無いわ

ふん、構わんさ……
だがお前たちは、泣き姫にとって極上のエサになった

いつでも、俺はお前達を見ているぞ……

そう、必要なら……リアルでもな

何を言ってるの……この人……

ゴーディン……!!

フッフッフ……はっはっはっはっは!!

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