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第七章 6話:惑わされる者たち

お前たちは、あのPK集団とつるんで、
他の賞金稼ぎを次々に潰しているだろう!

ええっ!?

ひどい言いがかりよ!

PK集団のヤツがお前らの手助けをしてるって話を
聞いたやつがいるんだ

なんかそんな事を口走ってたヤツがいたわね
敵の敵は味方、だとか……

濡れ衣だよ!

そうです、私たちは巻き込まれてるだけです
仲間と思われるなんて、心外です!

そ、そんなこと知ったことか!
結果的にお前たちが、得をしているのは確かだ!

そうかな……
よけいな争いを強いられてるけど……?

結局、泣き姫の懸賞金欲しさに、盲目的になってる
連中ばかりなのよ……

誰が懸賞金を出そうとしてるんだ……

誰もそこに辿り着いてないんだよ……
踊らされてるだけ、じゃない?

懸賞金など、ない……そのようなルールは、
この“The World”には存在しないのだから

改めてそう考えて楽しんでみてはどうだろうか?

…………

(すたすた……)

フォロー有難うね、エルザーラ

我々も内部に問題を抱えている……

彼に大きな口を叩けたものではなかったな

それも含めて“The World”なのかも

哲学的だな……だが、そうかもしれない

……狩りを続けましょう!
それが傭兵団の楽しみ方ですよね?

そうそう、難しく考えてもしょうがないって!

魔物だろうが、賞金稼ぎだろうが、PKだろうが
敵は倒す!それでいいじゃん?

まぁ……そうだねー……

 

◆ ◆ ◆

 

さぁ、気を取り直して狩りを……

いたわよー!
泣き姫の武器を持ってるとかいう連中がー!

……誰か持ってる?

持ってるわけないでしょ……

私たちが勝ったら、頂くからね!

へっへーん、やれるもんならやってみなさい!

 

◆ ◆ ◆

 

やだ、やられちゃったー!
やっぱり泣き姫の武器を持ってるんでしょ!!

誰から聞いたの?

あんただったわよね?

いや?お前じゃなかった?

えっ、知らねーよ?

噂なんて、こんなものよね……

あ、あの、それじゃ失礼します……

いえいえ……

災難、この上ないな……

いたぞー!
「泣き姫の指輪」は頂くぜー!

ムキーッ!!

なるほど、酷いな……

 

◆ ◆ ◆

 

まともに狩りが出来てないよ……

ぐぬぬぅ~……

由々しき事態だな……
魔物を狩らなければ、傭兵団の名折れだ

あたしは、敵なら何でもいいけどね!

誰からの挑戦でも受ける

いいねぇ、それ!
何でも来いってスタイル、嫌いじゃないよ!

情報通りいたな、【主人公】とやら!

あんた、運が無かったわね……!

覚悟よろしくー!

ヒェッ!?

 

◆ ◆ ◆

 

フッ……そうよ、向かってくる方が悪いのよ……

ジュリ、怖いよ

ハッ……!?闇落ちするところだったわ……
ゴメン、【主人公】……

お前達と戦うと、泣き姫が助けに来ると聞いたぞ!

……泣き姫、助けてー……

えっ!マジで!?

なんてねー……

 

◆ ◆ ◆

 

いやー、次はどんな噂を聞きつけてくるのかなー
ちょっと楽しみだよー

出来れば勘弁願いたい

そうだぞ、【主人公】たちの身になって
考えてさしあげろ……

エルザ姉も固いな~

泣き姫はどいつだ……?
正体を現せ!

そう来たかー……

 

◆ ◆ ◆

 

あっ、あそこ……冒険者同士で戦ってます!

行こう!

はい!

キャーッ……(ドサッ)

一足遅かったわね……

……見られたか……だが傭兵団の者ならば丁度いい
まとめて片付けてやろう

デスイーター!
だったら、遠慮は無用ね!

 

◆ ◆ ◆

 

デスイーターが賞金稼ぎも狙っているのは
本当みたいね……

全く意味がないよ……

いくら潰しあっても、何度でも復活できるしね……

牽制の意味もあるだろうな
何度も妨害を受ければ、退く者も出るだろう

(ザザッ)

お前たちはこんなところで油を売ってていいのか?

指図される必要はない

お前たちは、泣き姫を追っていればいい……

少々手荒な真似をしなければ思い出せないのなら
そうさせてもらう……!

 

◆ ◆ ◆

 

……いいか、泣き姫を追え……ククク……

(ザッ……)

今日は普段の狩りは出来ない日だったという運命を
受け入れる事にしよう

何と言えばいいか……

何も言う必要はない、運命だったのだ

弱い心になっていくよ……

次、敵に会ったら……もう……

ほう、チャンスか?
へへへ……よし、今だ!

もう魔物だろうが、人だろうが、絶対に躊躇せず、
全力でブッ倒してやるわ!!

あれっ!?

覚悟してー……?

 

◆ ◆ ◆

 

ひぃ!?強すぎる!
た、助けてくれぇ!!

あのねぇ……
そっちから挑んできたんでしょうが!

(ガッシャ、ガッシャ、ガシャ……)

なにやら激しい鎧の音がー……?

待たれい!双方、武器を収めよ!

どちら様でしょう……?

我が名はゼクセル!
弱き者を守る騎士の中の騎士なり!

騎士様、助けてくれェ!
こ、殺されるゥ!

承知!
このゼクセルが、助太刀しようっ!

あの、なにか誤解が……

参るぞ!

全然聞いてくれないー……

 

◆ ◆ ◆

 

助太刀などと大言を吐き、敗北を喫するとは……
クッ……殺せ!

騎士どの、落ち着いて

しかし、このような恥辱は騎士の名誉に関わる……

えぇと、ご立派でしたよ?
もう先ほどの賞金稼ぎさんは逃げちゃいましたけど……

何と……では私は囮の役目を果たせたということか?

そう……ですねぇ

しかし、悪の力に屈したとあっては、やはり騎士の
名折れ……もはやこれまで……

ゼクセル、この方達は悪人ではない
ゆえに、命を散らす事もない……

それに、ゲームだしね……

むむ、エルザーラ殿にラハム嬢!?
つまり、私の勘違いであった、と……

やはり、死んで詫びを……

許すよ、騎士ゼクセル

なんと寛大な方だ……
このゼクセル、深く感銘を受けた!

そうかー……

ぜひ、寛大にして聡明なる貴方の御芳名を
聞かせて頂きたい……

名乗るほどの者ではない

なんと謙虚なお方であろうか……

あー、【主人公】よ
もったいぶるのと、悪ノリが好きかもね……

では【主人公】どの、詫びの代わりには
なりませんが、我が騎士団を紹介させて頂きたい

騎士団……ですか?

ええ、世界の正義を守る最後の要!
「琥珀の騎士団」を!

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