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第八章 2話:偽りの支配

~都内中学校教室~

 

……で、あるからして、最初のネットワーククライシス
として認識されている「Pluto Kiss」以前にも……

(ヴーン……)

(えっ……こんな時間に“Kataroo”にメッセージ?
まさかジュリやシャノンじゃないよね……)

「新着メッセージあり」

(ピッ……)

『まだ泣き姫と戦わないのか?』

えっ……!

うん……?今のは誰?

はい……
田村です……

あぁ……田村美佳(たむら・みか)か……
どうした、質問があるのかね……?

あ……いえ……何でもありません

そうか、では授業を続けるぞ――

…………

(クラスの人たちは何の反応もなし、か……
野次られる事も無く、笑われる事もない……)

(別にどうでもいいか、それはお互い様だし……
それよりも、このメッセージって……)

(たぶん昨日、シャノンが言ってたあのメッセージと
同じ送り主だ……)

(セキュリティが甘い、とか言ったけど
見事なブーメランになっちゃったよ……)

(まぁ『マルタ』としては良いネタかもねー……)

 

◆ ◆ ◆

 

~ホーム~

 

というわけで、うちにも来たよ……
シャノンに届いた不幸の手紙……

笑えなくなってきたね

やっぱり、あのデスイーターのやつら……
特にゴーディンが一番怪しいよ……

私の次は、マルタですか……
みんな一度にメッセージが来るよりも陰湿ですね

そのメッセージに返答はしたの?

そんな怖い事しないよ……

仕方ないから泣き姫を探す?

今日の騎士団との狩りで、運が良ければ
悪ければ、かもしれないけど、会えるかもね

騎士団の方と約束してますし、
取りあえず合流しましょうか……

 

~氷雪地帯~

 

よくぞ参られた!
【主人公】とその仲間たちよ!

ええ
昨日は溶岩地帯だったけど……

うむ、趣向を変えてみたのだが、いかがだろうか?

クールなチョイスだね!

そしてこの【主人公】のドヤ顔だよ……

気に入って頂けたようで、私も嬉しいよ

それよりも、効率よく戦いませんか?
時間が惜しいです

そうですね、せっかくタカハさんが来て下さって
ますし、行きましょうか?

おお~……

 

◆ ◆ ◆

 

いつもせかすようで、申し訳ありません
我々の鍛錬につき合っていただき、感謝します

こちらこそご丁寧にありがとう

これを機にお互い協力して精進できればと
考えておりますので、よろしくお願いします

はい、よろしくお願いいたしますね♪

おっ!あいつらは……へへっ!

今日は運がイイぜ……
おい、お前ら静かについてきやがれ

……りょーかい

……はいはい

誰かに見られてるような……

むむ……?

どうかしたか、【主人公】、それにゼクセル?

いや、気のせいであった!
それよりも、前方に魔物の姿が!いざ参らん!

 

◆ ◆ ◆

 

いつもと違う方と肩を並べるのは、やはり新鮮です
戦いのセオリーも違って、興味深いですね

冷静に戦うんだね

闇雲に剣を振るっても勝ちは得られませんから
観察し、迷いを払って、斬る……

それが私の流儀です……

クール美少女剣士……
完璧か……(ちらっ)

……何でこっち見たの?

 

◆ ◆ ◆

 

いつもと違う、といえば……
こちらの姫の存在も大きかろうな!

ふぇ……?

確かに、か弱き少女を護りながら戦うというのは
戦闘中の気配りの仕方が大きく違うかもしれない……

これもまた修行だね

なるほど、【主人公】たちの連携力や
強さの秘密はそこにもあるという事かな……

うん……みんな、つよいよ……

そのようだ

GRRRRR……

私は迷わず、目の前の魔物を斬り伏せるだけ……
正義の刃を受けるがいい!

 

◆ ◆ ◆

 

そういえば、タカハは剣道をやってるんですって?
剣道部なの?

そう、それとは別に週に四日は道場通いで……

サムライガールだね

そんな風に呼ばれたことはないけど……
まぁ、そんなところです

かっこいいね……

あ……ありがとう……

タカハは騎士団でも有数の使い手だからな
頼りにしているのだ

ええ、そうみたいね

お世辞を言われても、技は磨けませんよ
狩りを続けましょう

少々、固いところもあるがね
はっはっは!

 

◆ ◆ ◆

 

……キョロキョロ

何か気になる事でも?

大したことはないぞ?
ここはなかなか良い狩り場だと思うてな

まぁ、それなりに魔物は多いみたいね

うむ……愉快な敵が出そうだと思ってな?

はうー……?

……今、あの青い鎧の女と目が合ったような
気がする!?

けっこう離れてるし、気のせいでしょーよ

うるせぇ、お前らは黙ってついてくりゃイイんだよ!

わかってるわよ、バリゾーさん
……はぁ

 

◆ ◆ ◆

 

琥珀の騎士団の人とは、今のところ三人としか
会ってないけど……これで全員?

否、今のところおよそ5名といったところか

あとのおよそ2名は?

時間がなかなか合わなくてな……ハハ
まだ騎士団を忘れないでいてくれればいいが!

笑い事じゃないんじゃない!?

まだ会っていない者にも声をかけて、
ぜひまた修行の狩りと参りましょうぞ!

どんな厄介さんが来ても、もう驚かないよ……

 

◆ ◆ ◆

 

(おい、あの狭い場所なら挟み撃ちに
丁度いいんじゃねぇか?)

(そうですねぇ……じゃあ、俺たちは
先に向こう側で待ち伏せしてますよ……)

(よし……オレがヤツらに奇襲して、こっちに気が
向いた時に、お前らは背後から攻撃しろ)

(……りょーかい、だ……)

(……はいは~い……♪)

(こそこそ……)

むむむ……?
なるほど、そう来るか……

ゼクセル、何か?

いやぁ……実に愉快な修行ですな!

わからない人だー……

いつもの事だ……もはや気にしていないが

なに、そろそろ魔物が出そうな気配が
我が第六感に訴えかけてきただけの事……

第六感だなんて、そんな……

GRRRRRR……

まぁ、本当に来たわね……

修行の成果……なわけないわよね?

ハッハッハ!いざ、参る!

 

◆ ◆ ◆

 

オラオラオラー!!
今日こそお前らを倒してやるぜぇ!

バ……なんとか!?

もうちょっと頑張れ!覚えろ!覚えてくれっ!
バリゾーだっ!!

むむ、先ほどから我々をつけていたのは君だね?

なんだ、バレてたのかよ……コソコソして損したぜ!

それで、何の用事?
見ての通り、私たち忙しいんだけど

もちろん、お前らを倒して泣き姫の情報をいただく
ために決まってるじゃねーか……

泣き姫の情報?
何のことだ……あなたたちに心当たりが?

何のことやら……
筋肉は無視して先に行っちゃおう……

そうはいかねぇぜ……へへへ

(ちっ、あいつら何やってる……!?
早く来やがれ!)

(しーーーーーーーーん)

えぇい、とにかく今度はオレ様が勝つ!

 

◆ ◆ ◆

 

ちっくしょおおおおっ!!
あいつら、何で出て来ねぇんだ!?

あいつら?

(スッ……)

遅くなりました、バリゾーさん

こっぴどくやられちゃいましたねぇ?

くそっ!!
お前らがトロいせいで、負けちまったんじゃねぇか!

……ぶっ!

ぶっはっはっはっは!!

私らがトロいせいで負けちまった、ですって……
まだ気づいてないの?フフフ♪

はぁ!?
テメェら、どういう事だ!

俺たちはアンタが無様にやられるのを見たかったんで
わざと出て行かなかったんだよ!

腕っ節はまあまあだけど、頭は大したことない男
だったみたいねぇ?

はっはっはっはっは……あばよ!

ばいば~い♪

(ぞろぞろ……)

おい、お前ら!
戻ってきやがれ!!

(しーん……)

な、なんなんだよ、こりゃあ……!?

まぁ自業自得じゃない?

う、うるせぇーな、別にどうってことねぇ!!

どうせ力づくで無理やり子分にしたんでしょ?
そんなの、アンタについていくはずないわ

なるほど、こっぴどく仲間に裏切られた様子だ……
そなたは今、泣いていいぞ?

仲間に裏切られると言うのは、何より辛いことだ……
ああ辛い、辛すぎるとも……!

む、レオノーラのトラウマが甦っているようだ
貴公も辛ければ吐き出すが良いぞ?

何度も裏切られたとか辛いとか言うな!
どうせ元々、仲間でも何でもねぇんだよ!

裏切られたのは仲間じゃないから

はぁ?

まだ分かりませんか
【主人公】の言う通りですよ

仲間だったら裏切りません
それが正義です

あの、バリゾーさん
本当の仲間を作ってみてはいかがですか……?

けっ……オレは裏切られたんじゃねぇ!
オレが強けりゃ、裏切られることはねぇんだよ!

ほんとうに……そう、なの?

クッ……次はもっと強くなって相手をしてやる!
あばよ!

(ダッ……)

やれやれ……
次に来ても負ける気がしないよ……

哀れな男ですなぁ……だが我々は善き仲間に恵まれた
これほど尊い事はありますまい!

そうだね

少々トラブルもあったが、今日も良い修行になった!
【主人公】どの、感謝するぞ

トラブルか……ハハ
仲間は大事だな……【主人公】

そろそろお開きの時間ね、お疲れ様♪

次も……出来るだけ長く時間を作って参加する
またよろしく頼む

うん……
アルジェもつよくなる……!

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