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第八章:サブクエスト

やれやれ、我一人か……

遅刻とはなんたることじゃ
ナビにあるまじき愚行……

このようなことでは……

待たせたのう!

おっ?
我が最後ではなかったか

であれば
急いで来ることもなかったのう

なにを言うておる
早く来るに越したことはないじゃろ

まったく、我を待たせおって
このようなことでは……

すまんのう
我が最後であったか

我が主さまは、どうものんびりしとるゆえ
毎度、難儀するのじゃ

お主が言うでない

して、何故遅れたのじゃ
訳を聞こうではないか

我が主さまに
アドバイスをしておったのじゃ

ほれ、なんと言うたかのう……
“ベゼル”とかいう怪物を倒すイベントでな

ほお、我が主さまも一緒じゃ!

誰よりも多く狩ってやると
声高に息巻いておったぞ

偶然じゃな
我が主さまも、同じじゃ

では、我等の主さまは
お互いにライバルということじゃな

白熱は必須じゃ!
争奪戦の様相を呈してきおったぞ!

お主、いつも元気であるな

それはそうと、このイベント
少々、苦労するのではないか?

その“ベゼル”
弱点属性以外の攻撃は、物ともせぬぞ

裏を返せば
弱点を突けばよいということじゃ

準備を怠らねば、物の数ではない

故に属性の見極めが肝心じゃな

我が主さまに、それができるかのう……

我が主さまも、そこが心配じゃ
猪突猛進であるからのう

ふっ、お主等
手のかかる主さまを持ったものじゃ

まあ、我が主さまも
似たようなものであるが……

しかし、我がアドバイスを以ってすれば
手抜かりは生じぬゆえ……

!?

怪物に遭遇したようじゃ!

そのようじゃのう

では、お主等
主さまの元に、参ろうぞ

 

◆ ◆ ◆

 

ふぅ、ひと段落じゃ

“ベゼル”なる怪物、癖が強い
我が主さまも苦戦しておった

だが、先はまだまだ長いぞ
呼び出しも続く……

たくさん狩ることが
イベントの目的じゃからな

面倒じゃのう

アナタたち
気が緩み過ぎじゃないデスか?

おっ、お主は!?

誰じゃ?

お主、知らぬのか?
ナビコさんじゃ!

ナビキャラ業界の生ける伝説
我等の先輩じゃぞ!

アナタたち、新人デスね
ソンなコトじゃ業界を生き残れませんヨ

ナビコさん
本日はなぜ、このようなとこに?

可愛い後輩の仕事ぶりを見に来たのデス

アナタたちは、口調ばかり大人で
中身はヒヨッコですカラね

ナビコさんに言われては
返す言葉がないのう……

マスターから離れて雑談とは
職務怠慢デス

ソンなコトをしてると
恐怖を味わうコトになりマスよ!

恐怖ってなんじゃ?

ボタン1つで
ワタクシたちの存在を無きものにスル……

ナビ機能のオフのコトですヨ!

ナビ機能のオフじゃと!?

そっ、そんな残酷な……ことを
わっ、我が主……主さまが……

おっ、落ち着くのじゃ!

噂には聞いておった……
だが、オフにされた者が本当におるのか?

ワタクシが、そうデス!

なんと!?

アノ時の屈辱は忘れない……

アナタたちも二の舞いになっては
いけないのデス!

ナビコさん
我等は、どうすればよいのじゃ?

教えを授けてはくれんかのう?

いいでショウ!

大切なのは、前に前に出ることデス
アトは……

適度な“媚び”ですネ

“媚び”?
なんとも、下世話じゃな……

まあ、ホントに適度でいいのデス
上目遣いトカ、谷間を寄せるトカ

我等に谷間はないがのう……
ナビコさん、他には?

アトは、応援ですかネ?

主よ、頑張るのじゃ!
こんな感じかのう?

はい、いい感じデス

ここは踏ん張り時じゃぞ、主よ!

なにをモタモタしておる
ほんとに、愚図じゃな

えっ、今のは……応援?

ん?我が主さまは、喜ぶのじゃが?

そっ、そうデスか……
“世界”も変わりましたネ

オホン……
では、そろそろお暇しマスかネ

最後にワタクシが
一番大事にしてるコトを教えマス

マスターへの愛デス

ソレでは、可愛い後輩のみなさん
また、ドコかで会いまショウ!

“愛”か……なんとも深いのう

さすがは、ナビコさんじゃ!
最後の言葉、胸を打つものがあった

我等はまだまだ経験不足じゃ
勉強になったのう

!?

我が主さまがお呼びじゃ

次の戦いが始まる
我のアドバイスが必要じゃな

では、参るとするかのう

我等の愛する主さまの元へ!

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