~見慣れぬ場所~
なんなの、ここは……? |
完全に理解の範疇を振り切ってるよー……!? |
……お連れしたでありんす |
ここは、世界の吹き溜まり…… |
(スッ)
「ネットスラム」へようこそ…… |
ネットスラム……? |
そう……ここは「The World」であり、 |
そして、日の当らぬモノたちが行きつく場所 |
あの……どうして私たちをここに? |
これ以上アルジェを危険に晒しておく訳にはいかないと |
なぜ泣き姫から手を引かなかった? |
メールで警告してきたのはあなた? |
そうだ…… |
事態がここまで悪化するとは思わなかったのでな…… |
……いや、その様な傾向の者たちばかりだと見抜けぬ |
厄介事に首を突っ込みたがる、好奇心旺盛なだけの |
現状が現状だけに何も言い返せないけど…… |
私たちがしてきたことが、全て正しいとは言いません |
そんなに、悪い事を……していたんでしょうか? |
シャノン…… |
そんな事は分からない |
そう、ですよね……私たちの誰もが |
そうだ……だが全ては結果だ |
お前達がアルジェと長く共に居たいと願うなら、 |
いや……! |
そこまでこの者達を庇うか…… |
お前達が本当にアルジェと共にいるのに |
◆ ◆ ◆
助けてもらったのは有難いんだけど…… |
ただのニンリル……そう言ったと思うが? |
アルジェとあなたの関係は? |
あの子と私の関係か……ふっ |
そんな事をお前達に話したところでどうなるものでも |
せっかくだ、お前達の見極めは今の状況を説明しながら |
見極め……ですか? |
そうだ、見極めの結果次第ではもう二度と |
横暴…… |
別に見極めでも何でもしてもらえば良いじゃない? |
見極めなんてムダ |
ええ、そうね |
見極めるまでもなく、アルジェはあんた達と居て |
そうじゃなきゃ、この子は欲にまみれた賞金稼ぎや |
DDがデレた…… |
う、る、さ、い! |
……その女が何者で、何を見てきたのか知らないけど |
フ、何を言うかと思えば…… |
君が一番アルジェに無理をさせている元凶だという |
ちょっと……それはどういう意味よ |
それも含めて、すべて教えてあげよう…… |
……承知したでありんす |
ちょっと「あの場所」ってどこよ! |
あ、あの!アルちゃんは…… |
心配することはありんせん…… |
あっちと雫に任せるでありんす |
お友だちの皆さんも一緒にお守りしんす…… |
な、なんか良い気分……へへ♪ |
ここはなかなか興味深い場所ですから、飽きずに |
みんな……大丈夫…… |
しっかり見極めてもらおう |
そうよ、やましいところなんか |
転送エリア、座標、共に固定……転送開始 |
(シュォオオオオオオオオオオオオオオオン……)
行ってしまいましたか……フフフ |
本当に、興味深いわね……フフ |
~光の奔る空間~
さぁ、到着だ |
ふわぁ…… |
ようこそ「認知外迷宮」へ…… |
さぁ、さっそくで悪いがここの魔物は手強いぞ |
◆ ◆ ◆
こんな訳も分からない場所で戦うのが、見極め? |
ここは「The World」から隔離された、システム領域に |
そのような場所にいる君たちは、異物…… |
バグ退治と称して抹消する? |
ここで抹消されれば、二度と「The World」の日を |
ひとつ伝えておくが、私は特別ゆえ抹消されるという |
ずるい…… |
一般の冒険者では不可能な行為、という意味ならそうだ |
……いや、正確には「だった」だが |
ええっと、つまりあなたはCC社の……? |
そう「The World」を開発、運営するCC社、その |
過去形って事は、今は違うってこと? |
辞めたのだよ、失礼なお嬢さん…… |
ほら次の刺客だ、相手をしたまえ |
◆ ◆ ◆
それで、CC社のセキュリティ部門を辞めたあなたが |
偉ぶっているつもりはないがね |
アルジェと関係が? |
そう……私がこの世界に遺した最後の仕事の結果は |
しかし想定とは違う結果になりつつあるのは、 |
アルちゃんは、あなたが…… |
半分正しく、半分は違うといえるな…… |
私が創ったのは「モノケロス」というセキュリティ |
そしてそれは、これまで「The World」に発生した、 |
発生した……AI…… |
そう……とある「女神の祝福」によりこの世界が |
KIEEEEEEEE……
じゃあ、私達を襲うこの魔物はなぜいるの? |
フッ……この魔物の存在もまた、あるべき世界の一部だ |
住人同士のトラブルは、自分達で解決しろってことね! |
◆ ◆ ◆
世界が生み出した自浄本能って…… |
そうだ……それは時に世界の記憶に刻まれた |
さながら世界の守護者の幻影のようにな…… |
あるかもしれない |
頻繁に出現が確認されるのは、女神の信頼も厚いと |
その後「フィアナの末裔」や彼らの仲間達、そして |
「世界」が刷新されるたびにその防衛本能も成長し、 |
「The World」の奇跡が生み出す、実に素晴らしい |
この世界にそんなものが存在するなんてね…… |
昔だったら信じる事は難しかったと思いますけど |
……さぁ、まだ攻勢因子は存在するぞ? |
◆ ◆ ◆
でも、そんな奇跡的なシステムを、参考にしたり、 |
全てを模するのは不可能だ……「The World」の |
故に、私はその基本思想の一部のみを模しつつ、 |
それが「銀の一角獣」? |
そう「銀の一角獣」……正式な計画名は |
だが私は個人的に、その銀に輝く美しいユニコーンに |
銀を意味する言葉の「アルジェ」とね…… |
だが、アルジェは恐らくその名前以外の事は記憶して |
セキュリティシステムの機能を持っていたから |
そう、本能的にこの世界を汚す存在を駆逐するように |
危険な状態って食べ過ぎたり、無理をしている時の |
……分かっていないようだな |
……まさか |
ようやく気付いたようだな? |
不浄なデータを浄化する、力の源である「銀の角」をね |
そんな……私は…… |
DD、また敵が来たわ! |
◆ ◆ ◆
……もう一度言うわ |
こんなもの、返せるものなら |
奪った憶えは無くとも、「欲した」のであろう? |
えっ……!? |
あの時、何が起きたかなんて |
そうだろうな、君達の誰も分からないだろう |
だが、あの「泣き姫」と初めて相見えた戦い…… |
その結果、アルジェは姿を少女に変え、 |
そんな……私は何も……! |
待って、また敵よDD! |
◆ ◆ ◆
【主人公】…… |
その燃えるように輝く瞳……「王の瞳」を |
「王の瞳」!? |
そうだ |
泣き姫の力……ですって!? |
やっぱり…… |
泣き姫の瞳が光った時、【主人公】の |
【主人公】、君は何を欲した? |
分からない |
ならば、無意識だったのかもしれないな |
じゃあ、アルちゃんはどうして女の子の姿に |
……私にも分からない、だから知りたいのだ |
あの時、誰が何を願ったのかを…… |
さっきから、願ったとか欲したとか…… |
「The World」では不思議な事が起きるかもしれない |
「The World」は、ただのゲームではない |
KIEEEEEEEE……
現れた魔物を倒していく……そこだけを見るなら、 |
◆ ◆ ◆
「The World」に不思議なものが生まれたとしても |
でもリアルの私たちの「願い」が、この世界に |
まさしく、それこそが今この「世界」に起きている |
願いを「The World」が実現化する……? |
そうだ……君達の友人の彼もまた |
力を欲して、あの姿に…… |
だが、このイリーガルな現象が起きる原因に |
えっ? |
「The World」の開発運営を手掛けるCC社が |
そのMONOREAL社の息がかかった研究チームが、 |
その研究チームの名は……「ARIS(アリス)」 |