~都内某所ネットカフェ~
なんだ、こいつは? |
「なんだか妙に強い敵が暴れてるってよ」 |
「泣き姫じゃねぇけど、似たような力を使うらしい」 |
今、まだ暴れてるってのか? |
“グル・カーン”とその傭兵団の名をよ……! |
何だと? |
ええ、たしか例の【主人公】達が |
またあいつか、チッ…… |
そう簡単に仲間になるとは思えないですけどね、俺は |
仲間にならずとも、敵に回らなければ良い |
ふーん、それでどうするんです? |
暴れていた妙な魔物とやらが気になるじゃねぇか…… |
◆ ◆ ◆
……で、何がどうなってんのか教えやがれ |
こっちも色々聞きたい |
オレもあまり覚えてねぇんだけどよ…… |
少しずつでもいいわ、あんたが覚えてることを |
オレが覚えてるのは……あの薬を飲んだところ |
薬? |
念のため言っておくけど、薬を飲んだのはこのバリゾー |
その「プレイヤー」が意識不明になったり、記憶が |
私も似たような目に遭ってるから |
現実と虚構の境界なんて、この“The World”では |
◆ ◆ ◆
その薬とやらは、どこで手に入れたの? |
あぁ、そいつは情報屋の姉ちゃんに聞いたんだ |
強くなれるっていう噂の薬が、裏取引されてる |
情報屋って、メルツィア? |
おぉ、お前もたしか会った事あんだろ? |
噂が本当かどうか、調べて欲しいってな |
ふーん…… |
とにかく、オレは情報屋の姉ちゃんに聞いた場所で |
うーん、それだけなのかしら……? |
そんだけ……だろ? |
◆ ◆ ◆
そもそもあんた、なんでその薬を飲んだの? |
あ? |
たしか、仲間に裏切られてたよね |
……あぁ |
オレに力があったら、裏切られなかった…… |
(ゴゴゴゴ……)
ちょ、落ち着いてバリバリ君ー……!? |
力が……あれば! |
……ダメ、だよ |
(なでなで)
あ、う……!? |
何か、まだくすぶってるものがありそうね |
◆ ◆ ◆
くっそぉ! |
落ちついた方がいい |
これが落ち着いていられるかよ……! |
りらぁーっくす…… |
くっ…… |
あ、誰か来たよー…… |
……おい、この辺りで妙な魔物が暴れまくってた |
はぁ!?だれが魔物だっ!! |
落ち着きなって! |
人の事を魔物扱いされて、黙ってられるか! |
誰もあんたの事なんて言ってないでしょうに…… |
う…… |
やっぱりお前、都市解放傭兵団の |
ちょうど良かったぜ、お前達の事も探してたのさ |
あの、私たちに何か……? |
(ザッ)
うちの大将がお前らに用事があるってさ |
大将……? |
あぁ、お前も知ってるだろ? |
相変わらず、無礼な連中ばっかりみたいね…… |
まぁ素直に来てくれないっていうなら |
ヤナ予感、大当たりだよー…… |
◆ ◆ ◆
さすが、グル・カーンさんが一目置くだけの事は |
分かったのなら帰ってよ |
そうはいかないんだよなぁ…… |
とにかくあんたらには大将に会ってもらうぜ! |
◆ ◆ ◆
私たち、あのグル・カーンに気に入られ過ぎじゃない? |
趣味じゃないけど |
それは……まぁ、そうでしょ |
そういう意味でしたら、申し訳ありませんが、 |
お友達から断る……(キリッ) |
相当、嫌われたもんね…… |
何してんだ、まだ例の魔物は見つからねぇのかよ |
……って、何だこれ? |
魔物はいなかったが、別のターゲットを発見した |
で、全員やられてんのか?ハハッ |
人数だけは多そうね、まったく……! |
◆ ◆ ◆
強ぇな……こいつらが例の? |
ああ、エルザーラ側についている、 |
あんた達、何と戦いたいんだ? |
いずれは、この“The World”で一番力を持つ傭兵団に |
あんた達が強いなら仲間に、弱いなら潰しておく |
あんた達の仲間になりたくなる要素が |
俺達の強さは、組織力だ! |
(ザザッ)
おい、集まるのはここで良いのか? |
まったく、烏合の衆でも数が多ければ |
◆ ◆ ◆
もう、いい加減にして欲しいですね…… |
おいおいおい、テメェら! |
恥ずかしいマネしてんじゃネェーよ!! |
バリゾー、お前ってヤツは…… |
な、何だよ……そんな目で見るんじゃネェ! |
デレバリゾー……悪くないよ…… |
だから、妙な名前をつけんじゃねぇ! |
うっ……ヤベェ、またイラッとしたら…… |
お兄ちゃん……大丈夫、だよ…… |
お、おう……(キュン) |
(ザッ……)
茶番は終わりか? |
グル・カーン! |
おう、覚えてくれてはいたようだなぁ? |
【主人公】や私たちに何の用? |
おいおい、少しは交渉させてくれよ!? |
また、噂の魔物を倒したそうじゃねぇか |
それ程でもあるけど |
なかなか調子に乗ってるようだな……イイぜ? |
まぁ、本当にいたかどうかは問題じゃない…… |
暴走している魔物がいたっていう噂が出た…… |
どういう意味? |
ふん、まぁ挨拶代わりに、お前達の強さを |
暴走した魔物とやらの強さを見極めるためにな! |
◆ ◆ ◆
なるほどな…… |
もう諦めた方がいいよ |
諦める? |
もう用はないなら、帰らせてもらうわよ |
そうですね…… |
え、あ、ああ…… |
まぁ、そう焦るなよ…… |
◆ ◆ ◆
くっ……クハハハハハハッ!! |
何がおかしい! |
いいぜ、【主人公】……! |
その調子でデスイーターも泣き姫も、妙な魔物も |
はぁ? |
だが、その成果だけはこの俺たちが頂いていく |
何言ってるのか、まったく意味が分からないわ |
そうかな? |
どうやらお前らは、自分達の成果をあまり表に |
だから、代わりに俺達がそれをやった事に |
どういうことか分かりませんけど、 |
そうかな?きっと誰も疑いはしないぜ? |
お前達は自分達がやった、と否定したりは |
ゲスい…… |
俺は、このグル・カーン傭兵団を強く、巨大にして、 |
どうだ、悪くないアイデアだろう? |
なんてセコい野郎だ…… |
策だと言ってもらえると嬉しいんだがな……ククク |
ほう……まるでデスイーターの様な事を |
誰だ……? |
(ズズズズズ……)
だが、それでは【主人公】たちが |