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第四章 8話:迷える子猫

~街の郊外~

 

おい、DDはどこに行った?

分からん、逃げられたか……
あっちを探すぞ!

(タッタッタ……)

…………行ったわね

はぁ……

誰に聞いても「泣き姫」の事なんて知らないし、
それどころか、逆に私に問い詰めてくるばかり……

最近は逃げ回っている事の方が多いなんて……

一体、私は何をやっているんだろ……

あら、お困りの様ね……?

誰だ!

道に迷った子猫ちゃんを見つけたら、どうする?
あなた、手を差し伸べたくならない?

怪しい人間が手を伸ばしてきたら、子猫だって
その手に噛みついて、逃げるだろうな

噛みつかれたいのか?

もっとも私は子猫じゃないから、噛みつくだけでは
済まないかもしれないがな……

あら、怖いわね……でも、私は貴女が欲しい情報を
知っているかもしれないわよ?

どうかしら、噛みついてみる……?

……何を知っている?

ふふふ……ニャアォ♪

 

◆ ◆ ◆

 

~草原~

 

やっぱり木を隠すなら、森の中かもですよ!

藪から棒になんなの……?

アルジェちゃんが目立つのは、冒険者っぽくないから
じゃないかと思うんですよ!

確かに、一理ありますね……

アルジェ、冒険しない……戦えない……

本当に戦わなくてもイイんだよ~!
何か、武器を持っていればそれだけでイイかもです!

なるほど~……盲点
はい、呪杖……的な棒……

おぉ……アルジェ、冒険者……
みんなと同じ……?

アルジェの魔女っ子、良いね

まぁ、可愛い魔女っ子ですね♪
これなら確かに少しは誤魔化せそうですね?

そうね、アリかも?

じゃあ、アルジェは今から呪紋使い見習いってことで
いいわね?

みならい……?

師匠と呼ぶがいいよー……

ししょー……

さっそく魔物が現れたよ……
見習いは、師匠をよく見てマネしてー……

いぇっさー……

 

◆ ◆ ◆

 

GRAAAAA……

えいっ……(ぽかぽか)

見事な死体蹴りだー……
もう教える事は何もないよー……

へへ……

ちょっと、アルちゃんに変な事を教えちゃ、
ダメですよ!?

お、次の獲物が来たよー……

いぇっさー……

ダメですーっ!

 

◆ ◆ ◆

 

ぽかぽか、する……

あ、あのね、アルちゃん!?
アルちゃんは、戦うマネだけで良いからね~♪

うん……わかった……

短い時間の師弟関係だったー……

何をやってるんですかねぇ……?

 

◆ ◆ ◆

 

お前たちも狩りか……

あら、タリオン
今日は傭兵団なの……?

あら、また奇遇だね、元気してたかい?

まぁ、リュンクさん……リュンクさんも傭兵団に
入っていらしたんですね?

ああ、あたしは短期のバイトみたいなもんさ

GRRRRRR……

おっと、話はお仕事が終わってからだね

 

◆ ◆ ◆

 

ところで……
アルジェは、あれから大丈夫なのかい?

へへ……(ぶんぶん)

なんなんだい、その杖……っぽいのは?

呪紋使い見習い……のつもりー……

なるほど、冒険者にカモフラージュって訳かい?
まぁ、良いアイデアかもね、あっはっは

私のアイデアですよ~エッヘン♪

このお嬢ちゃんも、知ってるって事だね?

ええっと、まぁそんな感じです……えっへっへ

お互いに知り合いだったとはな……
傭兵団に来たのは縁があったからかもしれんな

まぁ、そうかもね……
傭兵団は、気楽に出入りできるけど……気をつけなよ

逆に「色々な」人間が、出入りできるって事だからね

悪い人間も……ってこと?

まぁ、そんなに悪い人間はいないと思うけどね
念のために、気をつけておいた方がいいよ

ええ、わかったわ……

どうかしたのか……?

ちょいと情報共有だよ、ホラ
次の獲物が来たよ!

 

◆ ◆ ◆

 

…………

どうしたの、アルちゃん?

おなか……すいた……

えっ……ちょっと、まさか?

きゅう……

GRRRAAAAAAAAAAAAAAAA!

うっひゃあ!
次の魔物が来ちゃいましたよ~!

ど、どうしましょう!?

とりあえず魔物を倒そう!

今は、それしかないみたいだね……

 

◆ ◆ ◆

 

GRRRRR……

この魔物は……どうなの!?

(シュウウウ……)

大丈夫、消滅したよー……

ふぅ……

魔物がどうかしたのか……?

な、何でも無いですよー!?
アハハハ……

おなか……きゅう……

タリオン、あのコたちは別の場所で狩るそうだよ?
うちらは向こうに行こうじゃないか(パチッ☆)

ウィンク返し(パチッ☆)

ゴメンなさいね、二人とも~♪
(ありがと、リュンク)

ああ、気にしないでいいよ(パチッ☆)

では、ここで別れよう……さらばだ

それじゃあ、またね!

はい、それではまた……

GRR……

あそこ、魔物がいますよ!

あれ、かもー……

 

◆ ◆ ◆

 

GRRRR……!

こいつよ、消えないわ!

わるいコは……めっ!

(シュウッ!)

……けぷ

とりあえず、無事に済んだわね……

はい……

何なの、今のは……!?

DD!?

何で、あんたがこんなところに!?

そんな事はどうでもいい……!

その子は何者?
私たちが泣き姫と会った時にいた子でしょう!?

あ……いや……

アルちゃん!?

な、に……頭が熱い……そんな……どうして!?

ちょっと、あんた大丈夫なの……?

なぜ……「私の」頭が……熱く……クアァッ!!

(バタッ……)

な、なんなんですか……!?
大丈夫なんですか、この人……?

DD、大丈夫か……?

………………

反応がないわ……頭が熱くって……病気とか?

…………

(ムクッ……)

DDが、立ったわ……
気がついたの!?

…………コイ……

(チャキッ)

えっ……

武器を抜きましたよーっ!?

ハアアアアッ!!

 

◆ ◆ ◆

 

ウウッ…………

(どさっ)

何なの……突然襲ってきて……

いや……

いやああああああああああ……!

(ダッ!)

アルちゃん!どこに行くの!?

追いかけましょう!
……悪いけどDDより、アルジェの方が心配だわ!

え、ええ……そうですね……!

怖いお姉さん、ゴメンなさいです!!

【主人公】、早くー……!

わかった……!

アルちゃん、どうしちゃったの……?

(タッタッタ……)

……くっ……私、気を失って……
ハッ……あの子は!?

お目覚めかしら、子猫ちゃん……?

お前か……ネージュ

ねぇ、本当だったでしょう?
あの子が泣き姫に至る鍵よ……

名前は、アルジェ……可愛い子でしょ♪

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