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第六章 7話:DDの告白

 ~洞窟~

 

……コホン……
出口、遠いわねぇ……?

……………………

空気が重いよ、 【主人公】 ……

……残念だったね、DD

……そうね

まぁ、次があるわよ!

ええ……もちろんよ

無様よね……
結局私は、何もできなかった……

そんなことは……
ないんじゃないかしら……ね?

そうですよ、私たちこうして無事でしたし……

泣き姫に会えば、何かが変わると思ってたけど……
甘かったわ……

妹さんのこと……?

…………そう、ね

いいわ、少し話してあげる……

 

◆ ◆ ◆

 

私には妹がいるの……双子のね

ユリちゃん、だっけ

私、言ってたかしら……
そう、百合って名前よ

その百合が……今、行方不明なの

ええっ!

それは……あの、何て言えばいいのか……

まぁ、反応に困るわよね……

待って……

GRRRR……

まだ魔物が残ってるみたい……

泣き姫の置き土産か……

まったく、厄介なものを残してくれたわね!

……わるい子、おそうじ……

 

◆ ◆ ◆

 

さて……どこまで話せばいいかしらね

ゆっくりで良いから

ええ……

百合と私は、ネットでトラブルにあってね
その怖さを味わった……

いわゆる炎上ってヤツ……
しかも周りが作り上げたデマによる、勝手なウワサね

酷い誹謗中傷だったわ……
私は我慢したけど、百合は耐えられなかったのね

それから家に引きこもってしまったわ……

そんなことがあったんですか……

 

◆ ◆ ◆

 

それから私は百合とあまり話さなくなったわ……

同じ家の中に住んでたの?

そうよ……
それでも心の距離は遠くなってたと思う

それから百合に根も葉もない噂が立ったりしたけど、
私は聞かないフリをしてた……

ひどい姉よね……

DD……

 

◆ ◆ ◆

 

そんなある日、突然百合がいなくなった……

変わった様子はなかった?

あったかもしれない……
けど、私は気づけなかった……!

そんなの……ムリでしょ

 

◆ ◆ ◆

 

百合の部屋に手掛かりがないかと思って、
残されたPCを調べたわ……

もしかしてそのPCに……

そう……百合のPCには、
“The World”がインストールされていた

この「DD」は、百合が使っていたキャラなの

そう、だったんですか……

 

◆ ◆ ◆

 

百合はこの「DD」というキャラで、泣き姫の情報を
扱っていたらしいわ

「DD」の中が百合でなく、私だと知らずに話しかけて
きた人から聞いた情報よ

それで君は泣き姫を追っている?

そういう事……百合が追っていた泣き姫を追えば、
百合の行方に繋がると信じてね……

思ってたより、大変な事情があったのね……

驚きだよ……

あの……有難うございます
大事なお話を聞かせてくれて……

協力させてくれないか?

そんなつもりで話したわけじゃ……

アルジェも……お姉ちゃんを、助ける……

あんたまで、そんな事を言うの?

……フッ、考えておくわ

 

◆ ◆ ◆

 

ここまでくれば、もう泣き姫の魔物は……

……けぷ

まだ残ってるってことかな?

うん……わるい子、ちょっとだけいる

それでも減ってはいるってことね

泣き姫が出現するたびに、特別な魔物が
生み出されているんでしょうか……

倒せない魔物がいるところ、泣き姫あり……か
噂にはなっていたけど本当みたいね

 

◆ ◆ ◆

 

これでどうかしら……まだ魔物はいそう?

……わるい子、もういない……かも

アルジェ、お疲れ様

おなか……いっぱい……

どこに入っていくのか……不思議だわ

……けぷ

それ返事のつもりかしら……
ちょっと下品じゃない?

そ、そうですよね……
アルちゃん、お行儀が悪いからダメよ?

アルジェ、わるい子……?

けぷってしたくなったら、分からないように
静かにしなさいよね……まったく

まだ作り物の人形に見える?

……うるさいわね、いちいち言わないといけない?

はいはい、分かったわよ♪

ふふふ♪

は……早く、洞窟から出るわよ!

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